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損害保険

損害保険の基礎

損害保険は不慮の事故や災害などの危険によってでる支出に備える保険です。
生命保険同様、損害保険ももちろん「大数の法則」「収支相等の原則」で成り立っています。
損害保険には、そのほかに2つの原則があります。

  • 利得禁止の原則
    保険で利益を得てはいけない
    実際に被った損害額以上の保険金を受け取れないことです。
  • 給付・反対給付均等の原則(レクシスの原則)
    それぞれの危険度に応じた保険料を負担しなければならない
    保険契約者が支払う保険料と、保険事故発生の際に支払われる保険金の数学的期待値が等しい事を示す原則です。
    (保険料)=(保険金額)×(保険事故発生確率)

主な損害保険のタイプ

損害保険は保険金額と保険価額のバランスによってタイプが分けられます。
「保険金額」・・・保険会社が支払う限度額
「保険価額」・・・被る可能性のある損害の最高見積額

超過保険 保険金額が保険価額よりも大きい保険
支払われる限度額が想定の損害額より大きいので損害額は全額支払われる(実損填補)
一部保険 保険金額が保険価額よりも小さい保険
支払われる限度額が想定の損害額より少ないので保険金額と保険価額の割合により保険金が削減される(比例填補)
  • 【問題】損害保険において、保険金額が保険価額を下回っている①の場合に保険金額の保険価額に対する割合に応じて、保険金が削減して支払われることを②というん
    ①超過保険 ②実損填補
    ①一部保険 ②比例填補
    ①超過保険 ②比例填補

損害保険にはどんな種類があるの?

損害保険には様々な商品があり、それぞれ違った特徴を持っていますので、じっくり吟味したいところです。
主な損害保険をまとめていきます。

火災保険

火災によって生じた建物や家財の損害を補填するための保険です。

普通火災保険 店舗や倉庫など 火災・落雷・爆発・破裂・風災・雪災による損害
水災による損害は対象外
住宅火災保険 居住用の建物とその家財 火災・落雷・爆発・破裂・風災・雪災による損害
水災による損害は対象外
住宅総合保険 居住用の建物とその家財 火災・落雷・爆発・破裂・風災・雪災による損害
+水災・外部からの落下、衝突・水漏れ・盗難などによる損害
住宅火災保険の補償範囲を拡大
団地保険 団地やマンションとその家財 住宅総合保険の補填内容に加えて、団地内の傷害事故・賠償事故も補償

地震による損害は火災保険では補償されません。

  • 普通火災保険は店舗や倉庫などのみ、居住用の建物とその家財は対象外
  • 普通火災保険・住宅火災保険は水災による損害は対象外
  • 住宅総合保険は水災による損害も補償される
  • いずれの火災保険でも地震による損害は補償されない
保険金の支払額

火災保険は保険金額が保険価額の80%以上で実損填補、80%未満で比例填補の算定方法になります。
比例填補の場合:損害保険金=損害額×保険金額÷保険価格×80%

失火責任法

失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)は、過失によって火災を発生させた場合は、原則として民法上の損害賠償責任を負わないことを定めた法律
重大な過失による火災でない限り法的責任を問わないということです。
ただし、借家人が借家(賃貸住宅)を焼失させた場合は家主に対して損害賠償責任を負います。

  • 【問題】火災保険では、突風によって住宅の窓ガラスや屋根が破損し、一定の損害が生じた場合、補償の対象となる。
    ・・・

地震保険

前段で記したように地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害に関しては火災保険では補償されないため、地震保険でこれを担保します。

  • 地震保険の対象は居住用の建物とその家財
  • 地震保険は単独での契約はできない。住宅火災保険もしくは住宅総合保険に付帯して契約する。
  • 主契約保険金額(火災保険金額)の30%〜50%の範囲内で設定
  • 建物5000万円・家財1000万円の上限がある
  • 損害の程度に応じて保険金が支払われる
    区分:全損(100%)・大半損(60%)・小半損(30%)・一部損(5%)の4段階(平成29年1月1日以降)
  • 【問題】保険開始期が平成29年1月1日以降となる地震保険契約について、損害区分は「全損」「半損」「一部損」の3区分とされている
    ・・・
    平成29年1月1日以降は「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分です

自動車保険

自動車保険には強制加入の「自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)」と自賠責保険で補償しきれない部分を補う「自動車保険(任意保険)」があります。

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)

自賠責保険は自動車・原動機付自転車に加入が義務付けられた保険です。

  • 自賠責保険は強制加入
    未加入で事故を起こした場合1年以下の懲役または50万円以下の罰金・免停(-6点)
  • 補償対象は対人賠償事故のみ相手の人身事故のみ補償
  • 保険金の限度額
    死亡事故・・・3000万円
    障害事故・・・120万円
    後遺障害・・・75万円〜4000万円(程度による)

自賠責保険(共済)に加入していないとどうなる?

交通事故被害者に対する国土交通省の救済対策を紹介します…

www.mlit.go.jp

ホームページを見る

自動車保険(任意保険)

自賠責保険で補償しきれない部分を補う保険です。

対物
車両保険 車両の損害・盗難などに対して支払われる
対人
自損事故保険 単独事故の運転者などの損害に対して支払われる
無保険車傷害保険 賠償資力が乏しい加害者から被った賠償額が支払われる
人身障害補償保険 本人・同乗者が死亡・傷害を負った場合過失の有無に関わらず示談の結果を待たずに損害額が支払われる
搭乗者傷害保険 搭乗者の死亡・傷害を負った場合契約時に定めた死亡保険金、入院・通院保険金が定額で支払われる
賠償
対人賠償保険 交通事故で他人を死傷させ賠償責任を負った場合の自賠責保険を上回る部分の補償
対物賠償保険 交通事故で他人の財物を損壊させ賠償責任を負った場合の損害額の補償
個人賠償責任保険 日常生活における事故によって、他人にケガをさせたり他人のものを損壊させ賠償責任を負った場合の損害額の補償
業務中の事故や自動車の事故、他人から預かったものによる賠償は対象外
  • 【問題】自動車保険の対人賠償保険では、自動車事故により他人を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合、自賠責保険から支払われる金額を超える部分に対して保険金が支払われる。
    ・・・
  • 【問題】人身障害補償保険の被保険者が自動車事故により死傷した場合、過失相殺による減額をせずに、治療費など実際の損害額が保険金支払いの対象となる
    ・・・
  • 【問題】個人賠償責任保険において被保険者が自動車の運転によって他人を死傷させ、法律上の損害賠償を負った場合、保険金支払いの対象となる
    ・・・
    業務中の事故や自動車の事故、他人から預かったものによる賠償は対象外です。
  • 【問題】車両保険(一般条件)では、自宅の敷地内の駐車場で運転操作を誤って自損事故を起こし、被保険自動車が被った損害は補償の対象とならない
    ・・・
    自損事後の被保険自動車の損害は補償の対象となります
  • 【問題】個人賠償責任保険において、〇〇の場合、補償の対象とならない。
    友人から借りたカメラを誤って破損させた
    散歩中に飼い犬が他人に噛みついてケガをさせた
    買い物中に誤って棚から商品を落として破損させた

傷害保険

日常生活における急激かつ偶然な外来の事故で傷害を被った場合に保険金が支払われます。

普通傷害保険 国内外を問わず日常生活(業務上・業務外を問わず)での傷害
細菌性中毒・熱中症・日射病・靴ずれ・しもやけ・心臓発作などは対象外
家族傷害保険 普通傷害保険の対象を本人から配偶者、本人または配偶者と生計を一にする同居の親族および別居の未婚の子まで広げたもの
交通事故傷害保険 国内外における交通事故・建物火災・こう通常用具の搭乗中・改札口の内側・道路通行中の事故
国内旅行傷害保険 国内旅行中の傷害。食中毒も補償
海外旅行傷害保険 海外旅行中の傷害。食中毒・地震・津波・噴火による傷害も補償

国内・海外旅行は自宅を出発して帰宅するまでの間の補償します。

  • 国内旅行傷害保険は「細菌性食中毒」は対象「地震・噴火・津波による傷害」は対象外
  • 海外旅行傷害保険は「細菌性食中毒」も「地震・噴火・津波による傷害」も対象
  • 普通傷害保険(家族傷害保険)は「細菌性食中毒」も「地震・噴火・津波による傷害」も対象外
  • 【問題】細菌性の食中毒や地震等によるケガは、海外旅行保険の保険金支払いの対象となる
    ・・・
  • 【問題】普通傷害保険(特約なし)では、被保険者が地震の揺れで転倒してケガをした場合、保険金支払いの対象とならない
    ・・・
  • 【問題】普通傷害保険において、被保険者が〇〇により通院した場合は、通常、保険金支払の対象となる
    疲労性の腰痛
    料理中の火傷
    ウイルス性の食中毒
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