所得控除(物的控除)
- 10種類の所得の計算:得た所得を「10種類」に分類し必要経費を差し引いて所得を計算
- ①損益通算:一定の所得の赤字をその他の所得の黒字と差し引き
- ②前年からの赤字を繰越控除:一定の場合損益通算しても引ききれない損失は、翌年以降3年間に渡り繰り越せる
- 所得を合算:総合課税と分離課税の所得に分ける
- 所得控除を差し引く:担税力やその年の支出状況などによって税額を調整する
- 税率を適用:総合課税される総所得金額には超過累進税率を、分離課税される所得にはそれぞれの税率を適用
- 税額控除を差し引く:算出された税額から税額控除を差し引く
所得控除って?
税金を計算するときに、家庭の状況やその年の支出の状況などによって所得から控除することができるものが所得控除です。
所得控除は納税者やその家族の事情を考慮した控除〈人的控除〉と社会政策上の理由による控除〈物的控除〉があります。
こちらでは社会政策上の理由による控除〈物的控除〉をまとめます。
社会政策上の理由による控除〈物的控除〉
FP3級では主に「社会保険料控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「医療費控除」がメインとなります。
生命保険料控除
生命保険料控除は平成23年12月31日以前に締結した契約と平成24年1月1日以降に締結した契約で区分と控除額が変わります。
平成23年12月31日以前は「一般の生命保険料控除」「個人年金保険料控除」だけでしたが、平成24年1月1日以降は「一般の生命保険料控除」「個人年金保険料控除」に加えて「介護医療保険料控除」が追加され計算されます。
平成23年以前の契約(旧契約) | ||||
---|---|---|---|---|
一般の生命保険料控除 | 個人年金保険料控除 | 介護医療保険料控除 | 合計控除限度額 | |
所得税 | 最高50,000円 | 最高50,000円 | – | 最高100,000円 |
住民税 | 最高35,000円 | 最高35,000円 | – | 最高 70,000円 |
平成24年以降の契約(新契約) | ||||
一般の生命保険料控除 | 個人年金保険料控除 | 介護医療保険料控除 | 合計控除限度額 | |
所得税 | 最高40,000円 | 最高40,000円 | 最高40,000円 | 最高120,000円 |
住民税 | 最高28,000円 | 最高28,000円 | 最高28,000円 | 最高 70,000円 |
※新旧制度が両方ある場合は、所得税12万円、住民税7万円が限度となる |
- 旧契約の場合:一般+個人2つ合わせて所得税最高10万円住民税最高7万円
- 新契約の場合:一般+個人+介護3つ合わせて所得税最高12万円住民税最高7万円
- 【問題】所得税において、平成24年1月1日以後に締結した保険契約の保険料に係る「一般の生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」について、それぞれ控除額の最高は〇〇である。
3万円・・・
4万円・・・
5万円・・・
社会保険料控除
- どんな時?・・・本人または生計を一にする親族の社会保険料を支払った時
- 控除額・・・全額
- 【問題】国民年金基金の掛金は、その全額が〇〇として、その支払ったとしの所得控除の対象となる。
小規模企業共済控除・・・
生命保険料控除・・・
社会保険料控除・・・
地震保険料控除
- どんな時?・・・居住用家屋や生活用動産を保険目的とする地震保険料を支払った時
- 控除額・・・全額(最高5万円)
- 【問題】所得税では、居住者が地震保険料を支払った場合、支払った額の2分の1に相当する金額を、地震保険料控除として所得金額から控除する
・・・
所得税5万円、住民税2.5万円を限度として支払った保険料の全額が控除できます。 - 【問題】所得税における地震保険料控除の控除限度額は、〇〇である。
3万円・・・
4万円・・・
5万円・・・
医療費控除・医療費控除の特例
- どんな時?・・・納税者または生計を一にする配偶者その他の親族の医療費を支払った時
- 控除額・・・(医療費ー給付金等で補填された金額)ー10万円
総所得金額が200万円未満の場合:総所得金額×5%
医療費控除の対象になるもの・ならないもの
医療費は支払った年に控除の対象となります。
例えば年末に未払いの医療費がある場合、この医療費は実際に支払った年に医療費控除の対象になります。
- 医療費控除の対象になるもの
- 治療または療養に必要な薬代(風邪をひいた時の風邪薬などはOKだが、ビタミン剤などはNG)
- 医師または歯科医師による診療費、治療費
- 治療のためのマッサージ代、はり師、きゅう師による背術代
- 出産費用
- 通院や入院のための交通費
- 人間ドック、健康診断の費用(重大な疾病が見つかり治療を行なった場合)
- 医療費控除の対象にならないもの
- 美容整形の費用
- 入院時の洗面具など身の回り品などの購入品
- 病気予防、健康増進などのための医薬品・健康食品代
- 通院のための自家用車のガソリン代
- 電車やバスで通院できるにも関わらず、タクシーで通院したタクシー代
- 自己都合の差額ベッド代
- 近視や乱視のためのメガネ・コンタクトレンズ代
- 人間ドック、健康診断の費用(重大な疾病が見つからなかった場合)
- 【問題】人間ドックにかかった費用は、その人間ドックによって異常が発見されなかった場合であっても、所得税における医療費控除の対象となる
・・・
異常が発見され、治療を行なった場合は医療費控除の対象になります。 - 【問題】所得税における医療費控除の控除額は、その年中に支払った医療費の金額の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除く)が、その年分の総所得金額等の合計額の5%相当額または〇〇のいずれか低い方の金額を超える部分の金額(最高200万円)である。
5万円・・・
10万円・・・
20万円・・・
医療費控除額(最高200万円)=支払った医療費の総額-[A]-[B]
[A]保険等で補てんされる金額 [B]10万円と総所得金額等の5%相当額のうち低い方 - 【問題】所得税において、〇〇は、医療費控除の対象とならない。
医師の診療を受けるためのバス代等の通院費用・・・
入院の際の洗面具等の身の回り品の購入費用・・・
風邪の治療に必要な風邪薬の購入費用・・・
医療費控除の特例〈セルフメディケーション税制〉
健康維持・増進、疾病の予防を目的に一定の取り組みを行う個人が平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、本人または生計を一にする配偶者その他の親族にかかる一定の「スイッチOTC医薬品」の購入費を支払った場合、その年中に支払った金額が12,000円を超える時その超える部分の金額(上限88,000円)について総所得金額から控除することができるものです。
- 控除額・・・支出した額ー12,000円(控除額上限は88,000円)
- この特例を受ける場合は、通常の医療費控除は受けることができません。
スイッチOTC医薬品ってなに?
医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品のことです。
- 【問題】セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)にかかるスイッチOTC医薬品の購入費(特定一般用医薬品等購入費)を支払った場合、所定の要件を満たせば、通常の医療費控除との選択により、最高10万円の医療費控除の適用を受けることができる。
・・・
実際に支払った額から12,000円を引いた金額(上限88,000円)が控除額です。
ちょっとわかりにくい医療費控除ですが、会社員でも医療費控除利用することも多いので実際の内容を詳しく知りたい人はこちらのサイトがおすすめ。
医療費控除って何?医療費を多く支払った場合の控除額とは | クラウド会計ソフト freee
医療費控除とは、一定額以上の医療費を年間で支払った場合に、納めた税金の一部が戻ってくるというものです。ただし、医療費控除を受けるためには、会社員であっても確定申告をする必要があります。 では、そもそも医療費控除とはどのようなしくみなのでしょうか?また、いつどのように手続きをすれ……
小規模企業共済等掛金控除
- どんな時?・・・小規模企業共済や確定拠出年金の掛金を支払った時
- 控除額・・・全額
- 【問題】確定拠出年金の個人型年金の掛金を支払った場合、その支払った金額は〇〇として所得控除の対象となる。
生命保険料控除・・・
社会保険料控除・・・
小規模企業共済等掛金控除・・・
雑損控除
- どんな時?・・・本人または生計を一にする親族が保有する資産が災害・盗難・横領で損害を受けた時
- 控除額・・・①差引損失額ー総所得金額等の合計額×10%
②差引損失額のうち災害関連支出金額ー5万円
①と②のうち多い金額まで
寄附金控除
- どんな時?・・・特定の団体に寄付をした時(特定寄付金:国や地方公共団体に対する寄付金、一定の公益法人などに対する寄付金)
- 控除額・・・支出寄付金ー2,000円
所得控除〈物的控除〉一覧
種類 | どんな時? | 控除額 |
---|---|---|
社会保険料控除 | 本人または生計を一にする親族の社会保険料を支払った時 | 支払った保険料の全額 |
生命保険料控除 | 生命保険契約等の保険料を支払った時 | 支払った保険料の額に応じて控除 最高12万円 |
地震保険料控除 | 地震保険料を支払った時 | 支払った保険料の全額 最高5万円 |
医療費控除 | 支払った医療費が一定額を超えた時 | (医療費ー給付金等で補填された金額)ー10万円 総所得金額が200万円未満の場合:総所得金額×5% |
医療費控除の特例 (セルフメディケーション税制) |
特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その年中に一定の健康診査や予防接種などを行っている時 | 支払った医薬品等購入費の合計額のうち年間12,000円を超える部分の金額(88,000円を限度) |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済の掛金や確定拠出年金の掛金を支払った時 | 支払った掛金全額 |
雑損控除 | 本人または生計を一にする親族が保有する資産が災害・盗難・横領で損害を受けた時 | ①差引損失額ー総所得金額等の合計額×10% ②差引損失額のうち災害関連支出金額ー5万円 ①と②のうち多い金額まで |
寄附金控除 | 特定の団体に寄付をした時(特定寄付金) | 支出寄付金ー2,000円 |
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